When IQ takes control
2016年6月20日月曜日
バルメット IQは、Stora Enso Skoghallの 1995年製という年代物の品質管理システムに取って代わり、グレード変換時間を 25%短縮した。
Stora Enso Skoghallは世界最大級の液体包装用紙製品メーカーである。KM8製造機の旧型の品質管理システム(QCS)を、スキャナー 3個装備の近代的なバルメット IQシステムと入れ替えることで、グレード変更時間を 25%短縮できた。KM8は世界最大の液体包装用板紙マシンで、5層のワイヤー側にて表 3回スターチコーティングした製品を 1時間に 465,000トン製造する能力を持っている。
「2011年に、1995年の KM8の使用開始から運用してきた以前の品質管理システムの寿命が尽きました。」と語るのは Stora Enso Skoghall社のプロジェクトマネージャーであるLeif Karlsson氏である。「当社では Measurexシステムを使用していましたが、交換部品の入手が徐々に困難になっていました。そこで、既存の QCSを入れ替えるプロジェクトを開始したのですが、同時に既存の専用ソリューションは維持しつつそれを発展させることを求めていました。」 |
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「重要問題のすべてが漏れなく考慮されているか確認するため、プロジェクトグループに加えて、プロセスオペレーターを含む検討グループが作られました。必要条件を一覧化し、見込みサプライヤーに計算の基礎を提供するため、たとえば慣らし運転の長さや品質変更に要する時間を判定するため、機械を 100回ほど作動させました。新しい品質管理システムを使用して、こうした時間を短くする必要があったのです。」
プロジェクトを3分割
サプライヤーは慣らし運転と品質変更に加えて、機械の最適化のために要する時間を計算するための機械の関連データすべてを入手した。関連する性質を測定するためのセンサーの正しい選択、機械全体の良好なプロファイル制御、加工方向の特性のばらつきの高度な制御、様々な積層における保持力のオンライン測定を伴う品質管理システムにより、慣らし運転と品質変更は少なくとも 25%速くなるはずである。サプライヤーからの提案と技術的解決策を包括的に評価した後、Stora Eiisoはバルメット IQ品質管理システムを選択した。
「ある品質管理制御システムから別のシステムに変更するのは大変なことなので、可能な限りリスクを小さくしたかったのです。」とLeif Karlsson氏は続ける。「そこで、リスクを小さくするため、プロジェクトを3つの部分に分割しました。」
ひとつ目の部分は、2012年の秋期保守整備期間中に実施された。これは、秤量、水分、紙厚、繊維配向性、地合い、および色相を測定するベースペーパースキャナーとともに、水分の分布を制御する新しいモイスチャライザーを導入するものだった。バルメットリテンション分析計(バルメットRM3)が、能力の確認のため、層のひとつに取り付けられた。結果は非常に良好で、Skoghallは、RM3が添加薬品の使用量を最適化する上で大きな可能性を秘めていることを認めて、全層用に購入した。オペレーターたちは、最初の 1年の間に、旧型モイスチャライザーおよび従来の繊維配向制御をバルメットの新型機材に切り替えることができた。
プロジェクトの第 2の部分はコーティングセクションについて実施され、2013年秋に完了した。これは、コーティングステーション 3ヶ所のすべてにおいて手動のプロファイル制御をバルメット IQ塗工量プロファイラーに交換してコーティングの自動制御を行うというものであった。スキャナーのうち 2台が、第 1コーティングユニットと第 3コーティングユニットの下流に取り付けられた。第 2ポープリールの下流で、秤量、水分、紙厚、塗工量、および色相に加えて、両面の水分が測定された。将来的には、両面の網状の繊維表面の水分を測定して、紙のカールの制御に使用可能である。
2014年の秋期保守整備休業時に、旧型品質管理システムの最後の部分が交換された。バルメットは、ヘッドボックスでの秤量制御用のアクチュエータをすべて修理または交換した。現在、板紙の表面の層と裏面の層の繊維の方向を、バルメット IQスライスプロファイラーで制御できる。一方、バルメット IQ希釈プロファイラーによって、3層の中間層の基本重量の節約が実現する。
慣らし運転時間と品質変更時間が25%短縮
前出の Leif Karlsson氏はまた、「3つの立ち上げはすべて非常にうまく行き、わずか 90分間で品質承認に到達できました」とも語っている。「我々はもう 18ヶ月以上も完成版のバルメット QCSシステムで KM8を動かしてきました。目標のほとんどが既に達成済みです。その中には、慣らし運転時間と品質変更時間の 25%短縮も入ります。」
保守整備の簡略化
「QCSは、狭い範囲の専門的能力が必要な分野ですので、このシステムについての知識を持つ人員を社内に持つことが重要です。」と語るのは、KM8のQCSシステムのメンテナンス責任者である Peter Grabner氏である。「そこで、システムのコントロールを握り、オペレーターに支援を提供できる専門の QCSグループを創設しました。4グループの内の 1グループが交代で 24時間待機をしていますが、ありがたいことに必要なサポートのほとんどが自宅から行えます。」
「代替の場合、新しい QCSシステムに必要なメンテナンスは、以前の状況との比較では大きく減少しており、もちろん交換部品も簡単に手に入ります。」
「あらゆる段階での優秀なサポート」
「投資総額は大体 500万ユーロでした。これは、プロジェクトを 3段階に分けて 3年掛けて実施したにもかかわらず、予算を下回っていました。」と Leif Karlsson氏は言う。「リスクを最少化したかったのです。これは正しい決断だと当時考えていましたが、この考えは今でも変わっていません。もし、1回のゴーサインですべてを終わらせた場合、新しいシステムであるため、あるいは私たちがそのシステムの経験に乏しいため、問題が生じて、何らかのお金が簡単に失われたことでしょう。」
「どの段階においても、バルメットのすばらしい支援を受けていました。使用開始の段階では、シフト毎にバルメットの専門家が協力してくれましたし、フィンランドからのサポートリンクもあって、どのような問題や障害でもすばやく解決できました。」 Leif Karlsson氏は締めくくった。