ARAUCO社の MAPAプロジェクト - 未来の工場の建設

2020年4月24日金曜日

チリにある ARAUCOの大規模拡張プロジェクト MAPAは、良好なペースで施工中である。このプロジェクトの完了後、工場は高品質なパルプと再生可能エネルギーの生産に重点的に取り組んでいくことになる。今後何年かは確実に、高度技術による効率的な処理が実現する。

Building the future

Araucoの工場は、チリのアンデス山脈のふもと、太平洋岸にある Horconesの少し沖にある。2018年に、ARAUCOは、工場のパルプ生産量増大に向け 156万トンのユーカリパルプ生産ラインを新たに設置し、現行の 55万トンのラジアータマツのパルプ生産ラインを改新するという、大規模投資プロジェクトの開始を決定した。このプロジェクトは MAPAと呼ばれ、スペイン語の「Modernización y Ampliación de Planta Arauco(Arauco工場の改新と拡張)」の頭文字を取ったものである。

ARAUCO社 総務/商務担当上級副社長 Charles Kimber氏は次のように説明している。「MAPAは、Biobío地域最大の産業プロジェクトであり、チリで最も重要なプロジェクトの一つです。また、これは ARAUCOの歴史においても最大規模の重要な投資の一つとなっており、投資額 23億5000万ドル、建設期間 30ヶ月、想定される雇用者数への効果は 8,000人を超えています」。

ARAUCO社 パルプ/エネルギー事業担当副社長 Franco Bozzalla氏は、さらに次のように説明している。「この投資により弊社は、世界中で最も重要なユーカリパルプ生産者の一つとしての名声を確立します。高品質なパルプに加え、弊社はこの拡張プロジェクトにより、森林バイオマスから、よりクリーンで再生可能なエネルギーの生産を増やすことが可能になります」。

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ARAUCO社 パルプ/エネルギー事業担当副社長 Franco Bozzalla氏(左)と 総務/商務担当上級副社長 Charles Kimber氏

最も効率の高いプロセスを保証

このプロジェクト向けのパルプ乾燥/梱包ライン、回収ボイラー、バイオマスボイラーのサプライヤーとして選ばれたのがバルメットである。この納品プロジェクトは 2018年後半に開始され、新工場の操業開始予定時期は 2021年度第2四半期となっている。

Bozzalla氏は要点を次のように述べている。「弊社は、弊社の分野で世界最高のテクノロジーを持っているのがバルメットであることを知っており、また、弊社の新設ラインを最高の中の最高のものにしたいと考えたのです。弊社とバルメットは長年の間、協同作業により素晴らしい結果とサービスを実現してきています。最も効率の高いプロセスを確実に実現し、環境効率を改善し、浪費する水量を削減し、化学物質の使用量を削減し、何よりも木材を最大限に活用したいと考えており、またそのためにはバルメットが最高の選択肢であることを知っています。現在工事は進行中で、2020年 1月末までにはプロジェクトの 35.5%が完了します」。

バルメットの木材/パルプハンドリング事業部門の副部長 Paulo Aguiarは次のように述べている。「私たちのお客様は、2019年前半に現場での作業を開始し、設計とほとんどの製作およびカギを握るテクノロジーの調達は終了しています。私たちの現場チームは現地におり、発送品の一部は現地に到着しています。今年は、最終的な調達と現地への発送作業を終えて弊社装置の設置作業を監督しなければならないため、極めて多忙な年になるでしょう」。

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バルメットの切断機は、チリに向けて発送する前にフィンランドの Ulvilaであらかじめ組み立てられた

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ボイラーの給水タンクは、長さ 38.5 m、空の状態での重量が 200トン近くあり、エストニアで製作された 

パルプ乾燥の予測生産管理

パルプ乾燥ラインは、4台の高性能梱包ラインを含む 2台の完全乾燥機から構成されている。このパルプ乾燥ラインでは、連続的で高品質な生産が可能である。このラインにはエネルギー/熱使用量削減技術が組み込まれており、運用コストの削減と環境負荷の低減に寄与している。

Aguiarは次のように述べている。「私たちはこれまでに 3つの乾燥ラインを ARAUCOに納入しており、MAPAへの納品はリピート・オーダーです。今回納入する乾燥機は 4台目と 5台目になります」。

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バルメットの木材/パルプハンドリング事業部門副部長 Paulo Aguiar

乾燥機は、高可用性を実現し手動操作の必要性を最小限に抑えることができるよう生産パラメーターを自動的に調整する最先端のプロセス制御機能を装備したものになる予定である。

「このラインは、高度な梱包重量制御機能を利用した予測生産管理を行えるものになります。私たちは、お客様をリモートでサポートするセンサーを設置しています。ウェブ監視システム、スキャナー、プロファイリングはすべて、装置の良好な運転に寄与します」。

乾燥機が高度に自動化されるだけではない。Araucoのオペレーターに対するサポートが必要な場合はバルメット パフォーマンスセンターからのインターネット・リモート接続を利用した専門家によるサポートも受けられ、インダストリアル・インターネット アプリケーションを利用したプロセス分析も行われる。

森林からの再生可能エネルギー

Bozzalla氏は次のように述べている。「弊社の工場はこの拡張プロジェクトにより、森林バイオマスから、よりクリーンで再生可能なエネルギーの生産を増やすことが可能になります。回収ボイラーとバイオマスボイラーはクリーンなエネルギーを工場に供給し、166 MWの余剰エネルギーはチリの全国配電網に供給されます」。

回収ボイラーには、最大のエネルギー効率と大きな発電量を可能にするバルメットの高度な高電力機能、および安全性とオペレーターにとっての使いやすさを向上させるスメルトスパウト・クリーニングロボットが組み込まれている。

発電ボイラーは、ユーカリの樹皮、木材チップ、木材残渣、廃水スラッジなど地域で発生するバイオマスを燃焼させることができるように作られている。この 2種類のボイラーはどちらも、燃焼排ガスからの塵粒除去機能が優れた Valmet ESP(静電集塵器)を装備している。

バルメットのボイラー納品プロジェクトマネージャー Tapani Nummelinは次のように述べている。「私たちのボイラー納品業務は、実に国際的な業務形態で実現されています。カギを握る設計、主要コンポーネントの設計と製造は、Tampereにある本拠地で行われていますが、フィンランド、スウェーデン、インド、中国、ブラジル、および当然ながらチリなど、異なる地域のバルメットチームが、それぞれの専門技術分野で貢献しています。」

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2020年 1月に Arauco MAPAサイトを訪問した バルメットのボイラー納品プロジェクトマネージャー Tapani Nummelin

またバルメットは、パルプ生産工程で発生する臭気ガスの安全な焼却を実現するための、工場全体を対象とするミルワイド NCG(非凝縮性気体)回収/処理ソリューションも納品する。

地域の状況に応じた特殊な取り組み

チリや、チリのパルプ生産施設は、地震活動が活発な地域にある。近代で最大の地震として有名な 1960年の Valdivia地震は、チリで記録されたものである(チリ地震)。また、2010年 3月の地震はチリ中央部と同国の紙パルプ生産全体に甚大な影響を与えた。このため、建設に関する新たな法規と手順が導入され、本プロジェクトのボイラーの設計もその影響を受けた。

Nummelinは次のように説明している。「この工場は、2010年の地震後にこの地域に新規建設される最初のパルプ工場となりました。私たちの計算書についても、この分野をリードするチリの地震専門家 Rodolfo Saragoni教授が確認を行いました。当然ながら、このようなことは私たちにとっても新しい経験でしたが、双方の専門家がうまく連携作業し、良好な人間関係を構築できました」。

その結果、回収ボイラーの鋼構造体の重量は、世界の他の地域に建設されている同等規模のボイラーと比較して約 50%重くなっている。

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本文 Kerstin Eriksson, Lotta Forssell, Francisca Maass

バルメットの納入範囲  

  • 日産能力 5,000 Adtのパルプ乾燥ライン(将来ボトルネックを解消することで能力増大が可能): 2台の乾燥機と4つの高性能梱包ライン 
  • スメルトスパウト・クリーニング・ロボットを装備した 6,300 tDS/日の回収ボイラー
  • 能力 160 MWthの流動床発電ボイラー
  • 工場全体を対象とするミルワイド NCG回収/処理ソリューション
最も効率の高いプロセスを確実に実現し、環境効率を改善し、浪費する水量を削減し、化学物質の使用量を削減し、何よりも木材を最大限に活用したいと考えており、またそのためにはバルメットが最高の選択肢であることを知っています。”
ARAUCO社 パルプ/エネルギー事業担当副社長 Franco Bozzalla氏