バルメットのメタノール精製 - 環境に優しいメタノールの価値を最大化

2020年4月28日火曜日

メタノールはパルプ工場の副産物であり、大きな可能性を秘めている。メタノールの利用を改善することは、パルプ工場の燃料コストを削減し、二酸化炭素排出量を削減し、生産量を増大させることに役立つ可能性がある。

Unleashing the green value of methanol

市販のメタノールは主に天然ガスから製造されるため、カーボンニュートラルではない。一方、パルプ工場から得られるメタノールは、天然ガスや石油に代わり得る環境に優しい燃料である。工場では、風乾重量 1トン(ADT)のパルプから約 10~15 kgのメタノールが得られるが、これは、現代の多くのパルプ工場が化石燃料を一切使用せずに操業できる十分な量である。工場では、発生し貯蔵した液体メタノールを化石燃料の代わりに利用することができり。

新しい精製技術

一方、現時点では、パルプ工場のメタノールを使用することが多少難しい場合もある。このメタノールは黒液濃縮プラントでガスの状態で濃縮される。幾つかの熱回収工程と含水量低減工程を経た後、ガスは、燃焼用として通常は石灰焼成炉または回収ボイラーに送られるか、液体メタノールシステムに送られる。メタノールは非常に汚染されており極めて強い臭気を有する。このため扱いが難しく、燃焼させると NOxと SO2を排出する。また、メタノールは含水量と品質の変動幅が大きく、これが石灰焼成炉の性能にとって問題になる。

パルプ工場を進化させるため、バルメットと産業界の複数のパートナー企業は協同で、新たな精製技術を開発した。現在では、パルプ工場で精製メタノール(バイオメタノール)を生産できるよう、既存のメタノールシステムを改修することが可能である。

利益の増大と二酸化炭素排出量の削減

バルメットの黒液濃縮アプリケーションとテクノロジーの担当マネージャー Anders Rotheliusは次のように述べている。「メタノールを精製することによるメリットとしては、メタノールを工場の燃料として利用できること、精製されたメタノールを販売できること、回収ボイラーのボトルネックを解消できることなどです。年間生産量が 400,000トンのパルプ工場では 1日に約 15トンのメタノールを生産でき、このような工場では、さまざまなメリットが年間数百万ドル分に達する可能性があります。」

バルメットの黒液濃縮アプリケーションおよびテクノロジー担当マネージャー Anders Rothelius

標準品質のメタノールを使用せず精製メタノールを使用することにより、燃焼状態の改善、排出物の削減、可用性の向上などのメリットが得られる。また、石油の代わりに毎日 15トンのメタノールを燃料として使用した場合、工場では年間 90万米ドル以上のコスト削減と二酸化炭素排出量削減を実現できる。

バイオメタノール市場にアクセス可能な工場の場合は、さらにメリットが大きくなる。化石メタノールの販売価格は約 500米ドル/トンだが、バイオメタノールの場合は確立された市場がないため価格を予測することが困難である。精製メタノールを化石メタノールと同じ価格で日産 15トンのペースで販売した場合、260万米ドルの年間収入を生み出す。また、バイオメタノールにはプレミアムが付く可能性が高い。

メタノールを回収ボイラー燃料ミックスから除くことで、パルプ生産量も増やすことができる。回収ボイラーが制約要因となっている場合、工場は、除去するメタノールを 1トン増やせば、パルプの生産量を 1トン増やすことができる。パルプの生産量増大による収益増大が、他のコストを考慮しても 250米ドル/トンであると仮定した場合、1日のパルプ生産量が 15トン増えると、収益が年間で約 130万ドル増えることになる。

メタノールの品質向上

現在では、精製工程を追加して液体メタノールシステムを改修することが可能になった。また、得られたバイオメタノールを蒸留すると、化学プロセスに使用できるレベルまで高純度になる。このため、パルプ工場では、重要な漂白用化学物質である二酸化塩素の生産用の化石系メタノールをバイオメタノールに置き換えることができる。

Rotheliusは次のように結論を述べている。「開発プロジェクト中に建設されたメタノール精製プラントは、パルプ工場で約 4,000時間、問題なく運転されました。設計は後に完成し、現在では、商用に適するものであることが実証されています。産業界の複数のパートナー企業の支援により技術開発が可能になり、現在弊社は、パルプ工場がこの技術を利用して業績を向上させるのを支援できる状態になっています。」

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メタノール精製技術は、産業環境における産業界の複数のパートナーと共に開発および実証された

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パルプ工場の既存のメタノールプラントの上流側に精製工程を配置して、メタノールプラントを改修することができる。こうして得られる精製メタノールは高品質な燃料であるため、工場で使用することも、販売することもできる。

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精製、蒸留したメタノールは十分に純度が高いため、二酸化塩素生産など他の化学プロセスにも使用できる。工場でこの目的のために使用されている化石メタノールを、このメタノールに置き換えることができる。

本文 Andreas Liedberg