テクノロジーを用いてカーボンニュートラルな未来へ
2022年6月3日金曜日
バルメットでは、カーボンニュートラルな経済への移行においてテクノロジーが重要な役割を果たすと考えている。私たちの目標は、お客様に 100%カーボンニュートラルな生産を実現し、2030年までに現在の製品のエネルギー効率を 20%向上させることである。既に、原材料、エネルギー、水、薬品などの消費を削減するための幅広いソリューションを提供している。
多くの企業にとって、カーボンニュートラルな経済を実現するという目標は、今やこれまで以上に重要な課題となっている。バルメットのサステナビリティ担当責任者 Laura Puustjärviは市場の変化の理由を明らかにしている。
「パリ協定はゲームチェンジャーでした。これにより、加盟国は、気候変動を緩和し、大幅な排出削減とカーボンニュートラルの実現を目指すよう求められています。この協定のおかげで、多くの政府が化石燃料の段階的廃止を目指しています。」
欧州連合(EU)は、欧州グリーンディールの一環として、2050年までに気候中立を達成することを目指している。この目標は、現在の温室効果ガス排出量を今後数年間で減少させることを求めている。さらに EUは気候変動への意欲として、2030年までに経済全体における排出削減目標を平均で少なくとも 55%に引き上げている。ヨーロッパでは、パルプ・製紙業界は 2030年までに 2005年比で最大 61%まで目標を引き上げている。
カーボンニュートラルな生産への推進力は、消費者、規制当局、金融部門の期待によって駆動されている。ヨーロッパが先導している一方で、他の大陸でも同様の傾向が見られている。
CO2排出の削減は、エネルギー市場の変革と共に進んでいる ”
「EUは気候変動に取り組み、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目指しています。中国は 2060年までにカーボンニュートラルを達成することを目指しています。CO2排出は 2030年までにピークを迎え、その後徐々に減少に転じると発表しています。」と Puustjärviは述べている。
「金融部門もまた、あらゆる産業でグリーンファイナンス手法による変革を加速させています。EUはコロナ後の復興予算の 30%を環境関連の資金とテクノロジーに充てています。」と Puustjärviは述べている。
バルメットはバリューチェーン全体の CO2削減目標と具体的な行動を設定
2021年、バルメットは野心的な気候変動プログラム「Forward to a carbon neutral future(カーボンニュートラルな未来へ)」を開始した。このプログラムでは、サプライチェーン、バルメットの自社事業、テクノロジーの使用段階を含むバリューチェーンの目標を設定している。バルメットは 2030年までに、自社事業で 80%、サプライチェーンで 20%の CO2排出削減を目指している。これらの目標の基準年は 2019年である。
バルメットは、自社のテクノロジーの使用においても現在のテクノロジーポートフォリオと比較してエネルギー消費をさらに 20%削減することを目指している。最終的な目標は、2030年までに 100%カーボンニュートラルなパルプ・製紙プロセスを実現することである。バルメットは今日すでに、バイオマスを使用したカーボンニュートラルなエネルギー生産を可能にするエネルギーソリューションとパルプテクノロジーをお客様に提供している。
「私たちの気候変動プログラムは、バリューチェーン全体でサステナビリティを促進するための体系的なアプローチの一環です。例えば、私たちは長い間、自社およびお客様の両方のエネルギー効率の改善に取り組んできました。私たちのアプローチはコスト削減と排出削減を両立させ、誰にとってもメリットがある状況が実現します。」と Puustjärviは述べている。
CO2排出の削減は、エネルギー市場の変革と共に進んでいる。デジタル化とサービスのアップグレードによる継続的なエネルギー効率の改善と並行して、化石燃料を再生可能エネルギーに置き換えることや、利用可能な場合は CO2フリーの電力と地域暖房を導入することが、脱炭素化のための重要な対策である。
「私たちは、市場において CO2排出削減のための包括的なバリューチェーンアプローチを採用している数少ない企業のひとつです。私たちはカーボンニュートラルな生産のためのソリューションをお客様に提供するだけでなく、バリューチェーン全体で排出削減の新しい方法を見つけるためにサプライヤーと密接に協力し、サポートしています。」と Puustjiärviは付け加えている。
その効果は、利用可能な最良のテクノロジー、最適化された工場設計、適切なオートメーション、インダストリアル・インターネット、サービスソリューションによってもたらされます。”
2030年までにカーボンニュートラルな生産プロセスへ
バルメットの研究開発担当バイスプレジデント Janne Pynnönenは、カーボンニュートラルへの移行においてテクノロジーが重要な役割を果たすと強調している。バルメットの総炭素排出量は、2021年には約 1億 400万トンの CO2となった。
「環境への影響の約 95%は、ライフサイクル全体にわたってお客様が私たちのテクノロジーを使用することによって発生すると推定しています。残りの 5%はサプライチェーンと私たちの自社事業によるものです。」
パルプ・製紙業界は、低炭素経済への移行において先駆者となることを目指している。継続的な研究開発はバルメットのすべてのビジネスラインで行われており、重要な貢献を果たしている。バルメットは、2030年までにすべてのお客様が段階的にカーボンニュートラルな生産に移行できるようにすることを目指している。
「この効果は、ティッシュ、パルプ、板紙・紙生産において、利用可能な最良のテクノロジーに投資し、工場設計を最適化し、適切なオートメーション、インダストリアル・インターネット、サービスソリューションを選択することによってもたらされます。新しいテクノロジーを開発することによって、お客様がカーボンニュートラルな電力を使用しながら、完全にカーボンニュートラルなパルプ・紙生産を実現することを目指しています。」
例えば、バルメット インダストリアル・インターネット(VII)の提供は、生産能力、マシンの稼働時間、エネルギー効率を向上させ、品質の損失と全体的な操業コストを削減するための、高度なモニタリングと予測のための広範なソリューションとアプリケーションをカバーしている。
エネルギー効率と化石燃料の代替が排出削減のカギとなる
「新しいテクノロジーや製品を開発する際、私たちの新世代イノベーションでは原材料、薬品、水の消費量が少なくなります。エネルギー効率は私たちの気候変動プログラムにおける重要な優先事項です。」と Pynnönenは断言する。
「乾燥は製紙工程において最もエネルギーを消費する部分であり、エネルギー使用量のおよそ 80%を占めています。私たちの重点分野のひとつは、ガスバーナーを電気式ドライヤに置き換えることです。」と Pynnönenは指摘する。
私たちは、製紙工程での水の必要性を減らす機会と低温熱を利用する方法を研究しています。”
Pynnönenは、バルメットの省エネ戦略には現在 2つの重要な重点分野があると付け加える。「私たちは、製紙工程での水の必要性を減らす機会を研究しており、それによって製品を乾燥させる必要性も減ります。もうひとつの重点分野は、製紙工程では回収されないことの多い低温熱を利用する方法を見つけることです。」
もうひとつの重要なステップは、バイオマスを使用したカーボンニュートラルなエネルギー生産を可能にするバルメットの現在のエネルギーソリューションをお客様に提供することで、製紙における化石燃料の必要性を完全に排除することである。
「パルプ生産では、バイオエネルギーを使用することで、今日すでに完全なカーボンニュートラルを達成することができます。バルメットは、バイオマスベースの熱・発電ソリューションを提供する世界有数のサプライヤーです。私たちは、排出ガスを抑えながら安全な操業を保証するため、排出ガス制御ソリューションを設計しています。」と Pynnönenは説明する。
パルプ生産では、バイオエネルギーを使用することで、今日すでに完全なカーボンニュートラルを達成することができます。”
「当社のお客様は、消費者市場向けにリサイクル可能でカーボンニュートラルな製品を生産しています。今後 10年間、この分野で大きな変化が起こるとは思えません。紙・板紙の生産は基本的に変わりませんが、継続的に改善し、効率性を高めることはできます。さらに、新しい製品によって業界はさらに多様化するでしょう。」と Pynnönenは予測する。
「カーボンニュートラルな産業プロセスを可能にするプロセステクノロジー、オートメーション、サービスに対する需要が高まっていることは明らかです。」と Pynnönenは付け加える。「国や大陸によって法律やシナリオが異なっていても、お客様とエンドユーザーは同じ目標を持っています。最終的には、誰もが同じ目標に向かって努力しています。」
Related articles