Estonian Cell社ではリファイナーセグメントのパッケージ契約を利用して省エネ
2017年5月23日火曜日
2012年、機械パルプを製造するEstonian Cell社(エストニアで最大の電力消費企業)では 1次リファイナーでの省エネ問題に直面していた。バルメットと共にリファイナーセグメントの最適化に取り組むこととし、最終的には年間で5 GWhの省エネを達成するまでになった。
Estoniaの Kundaにある Estonian Cell社 BCTMP工場が機械パルプの生産を開始した直後の2006年、現地のエネルギー市場が自由化され、電気料金とその流通費用が 2012年までに非常に高いレベルまで引き上げられた。
技術責任者の Lauri Raid氏は述懐する。「機械パルプにとって電力コストを低く抑えることは必須です。当時の目標は、パルプ品質を落とさず(もしくは若干でも向上させつつ)どの程度の省エネが出来るのか、ということでした。」
リファイナーセグメントを最適化するという方法
以前の操業では、ディスク間隙を狭くしてシャイブを減らしていた。ディクス間隙が狭いため、ディスク間隙に注意しながら操業していた。
バルメットのリファイナーセグメント担当技術マネージャー Petteri Vuorioは、担当者の1人としてこのプロジェクトに参加していた。「プロジェクトがスタートして直ぐに、当工場の効率が良いことが分かりました。したがって、更なる最適化を進めることは容易ではありませんでした。」
検討の結果、2012年に ProGapというリファイナーセグメントのパッケージ契約を結んだ。この契約はリファイナーセグメントの供給とディクス間隙制御を組み合わせたもので、ディスク間隙を正確に測定する Adjustable Gap Sensor(AGS、ディスク間隙センサー)が含まれていた。
投資回収はわずか数ヶ月
省エネに大きく貢献したのは、最適なリファイナーセグメントと正確なディスク間隙測定だった。
「シャイブの量は以前と同程度で、約 5%の省エネになりました。」と述べるのは Estonian Cell社 プロダクションマネージャーの Ivari Samolberg氏。「ポテンシャルとしては約 12%の省エネまで可能ですが、その場合には品質が未達となる製品がいくつかあります。」
「現在の結果には満足しています。工場全体で使う電力の 45%を 1次リファイナーで消費していますので 5%の省エネでも大きな削減です。」と Raid氏も同意。年間では 5 GWhの省エネとなり、投資回収期間はわずか数ヶ月だった。
リモート管理による迅速なサポート
当プロジェクトには、AGSによるディスク間隙測定をリモートで管理する方法も導入された。その結果、タイムリーに的確なアドバイスを提供できるようになった。
「バルメットに状況を説明する際には、このリモート管理が非常に役立ちます。」と述べるのは Samolberg氏。「バルメットがオンラインで測定状況を確認しているため、必要なデータを印刷する必要さえありません。」
使用済みのリファイナーセグメントを引き取る契約も含まれている。使用済み品はバルメットの工場へ送られ原料として再利用される。この取り組みは、Estonian Cell社の環境活動の助けとなっている。
柔軟性のある協働
バルメットのサービスは分かりやすく、顧客に合わせてカスタマイズされていると Estonian Cell社は評価する。「週末や夜間でも平日と同じように迅速な対応をしてくれます。」と Raid氏。「少し説明しただけで、担当者の Petteriはトラブルの内容を理解しています。」と Samolberg氏は話す。
Estonian Cell社は現在の状況に留まるつもりはない。リファイナーセグメントの購入方法を見直し、工場での在庫数を減らす案も模索している。「リファイナーセグメントの購入先は見直す必要がありません。」と Raid氏。
Estonian Cell社について
オーストリアの Heinzelグループの傘下にあり、高品質な機械パルプを製造している。原材料はアスペンで、環境負荷の低い設備を備えている。最終製品は上質紙・板紙・ティッシュ。現在の生産能力は17万トンで、2019年までに20万トンまで増産する計画がある。
環境やサステナビリティへの貢献が評価され、2014年に2つの賞を受賞した。